第37回全国都市緑化ひろしまフェア グランドデザイン「都市に刻まれた記憶を呼び起こす」

第37回全国都市緑化ひろしまフェアは、広島県内の自治体が主催者となり、広島東洋カープの本拠地であった広島市民球場跡地をメイン会場として2020年3月19日から開催されました。

メイン会場となる広島市民球場跡地は原爆ドーム北側に位置し、戦後の復興において、広島東洋カープの本拠地として広島県民の心の支えとなってきた場所です。また、広島平和記念都市建設計画においては、平和祈念資料館、原爆慰霊碑、原爆ドームさらに北側に延伸する景観軸を建築家丹下健三氏が提案し、平和と慰霊の南北の軸が形成された場所にあたります。

本事業では、旧市民球場のスタンドと同じ位置に1.3mの盛り土を行いました。盛り土は、会場を取り囲むように配置し、内側を1:5程度の勾配のスタンド形状のアースワークとしました。

このアースワークに市民球場時代に広島カープを応援した人々の姿を彷彿とするイングリッシュボーダーガーデンの花植栽を行い、「はなのわ」と題した外周立体花壇を創出しました。また、かつてピッチャーマウンドがあった場所には、プロ野球で使用されているピッチャープレートを設置しました。

一方、慰霊碑から原爆ドームにつながる景観軸の北側に、原爆ドームをランドマークとしたパス(通路)を設け、丹下健三がかつて計画し将来世代に託した景観軸の創出を試みました。「平和のシンボル」として作出されたヨウコウザクラの列植により景観軸を強調し、被爆及び終戦した1945年から2045年までの100年間を「未来に向けた思い出年表」として、10年ごとの出来事を当時の新聞記事の展示と、来場者の参加型による短冊の展示を行い、広島の復興と戦後の緑化の歴史や未来への希望を体感できる場としました。