志段味でミニ古墳作り@春祭り

 2021年5月3日。穏やかな気候の下、しだみゅーでは春祭りが開催されました。

 テツandトモさんのステージや、折り紙王子などにいらしていただき、大盛況の一日となった春祭り当日。さて、しだみゅーの指定管理者の一員であるTONZAKOデザインはどんな事に挑戦したかというと、今年はミニ古墳づくりの企画を実施しました。

 お祭りが開催されている間は、いつきても気軽に参加できること、古墳のある屋外でなにか形あるもの(残せるもの)をお客さんと一緒につくる、如何に多くの人に、自分事として関わってもらえるか、そんなことをおもてなしのベースにしながら企画を練り上げていきました。

企画のコツは、如何に楽しく巻き込むか!?

 春祭りに先立つ4月から、如何にみんなを巻き込んでいくかの仕込みがはじまっております。

 TONZAKOが企画した円筒埴輪づくりでは、焼成した後、春祭りの日に飾り付けに来てくださいと案内をしたり、プログラム後のエクストラ体験として苗ポットづくりに参加して頂いたり、より多くの人が、「自分もミニ古墳づくりに関わったんだよ」と言って頂けるようなネタを盛り込みました。

 また、実際にどんなミニ古墳を作るかも、しだみゅーのメンバーを巻き込みながら考えます。古墳の作られ方や配置、葺石の据え付け方など専門的な助言の他、ミニ古墳の土台にするための石集めなど、皆で共有できる作業はどんどん一緒にやっていきます。

 人任せにするのではなく、一番楽しんでいるのは自分たち企画者であることを前提に、企画に多くの人が関わりを持てるようにすることで「誰かが勝手にやっている古墳づくり」から「自分が作っている古墳」に企画を成長させることができるのです。

 ということで、男手を集めて皆で軽トラックに石を積み込み、ミニ古墳づくりの現場に運びこみました。

ミニ古墳の試作

 目指すは西大久手古墳のミニチュア。最新の発掘調査を基にした「造り出し」の形状など、共同で指定管理者を務める古代邇波の里・文化遺産ネットワークの服部氏に指示を仰ぎつつ進めます。方角はやっぱり東谷山を向くように、木棺を模した石を配置するなら当時既に持ち込まれていた北枕の考え方を踏襲しようなど。帆立貝式古墳に見られる円丘(後円部)と方丘(前方部)の割合が1:0.45程度になるように全体のサイズ感と合わせて目安となる石を並べていきます。

 葺石についても、石積みにするのか、より本物に近い土の表面に葺くだけにするのかなど、目指すべき古墳像とお客さんに伝えるネタ(ウンチク)、お客さんが楽しく作ることができるかどうかなどを考えなら決めていきます。

 どんなお客さんをもてなしたいかにもよるのですが、マニアックな方にはウンチクや真正性、再現性など、より本物を意識したこだわりが、喜ばれるポイントになりやすかったりします。一方で、小さなお客さんには、ウンチクよりも五感や直感で楽しめるやり方があっています。

 小学生高学年くらいになると、大人顔負けの知識を持った子がちらほら。同じプログラムの中に、マニアックな子から古墳にまったく興味がない子までが集うこともあり、ケースバイケースで五感とウンチクを披露しながらプログラムを進めることになります。ネタやウンチクは用意しつつも、必ずしも全部話す必要はなく、臨機応変にお客さんに合わせて進めることがコツとでもいえるでしょうか。

さあ、ミニ古墳づくりの開催です!

 当日はお天気も良く続々とお客さんがやってきます。ミニ古墳づくりの会場前には、しだみゅー企画の整理券目当てに並ぶお客さんの長蛇の列。

 道具を運びながら準備を進めていると、列の中から気になった人がちらほら。整理券が配られるまでの間にちょこっとだけ参加。さっそく企画の本領発揮です!

 午前中はみんなで石運びと石積み。思い思い積み上げてもらっているなかで、最新の発掘調査からわかった造り出しの形や葺石の作られ方など、小ネタを織り交ぜつつ作業をすすめます。

 午後からはバーク堆肥や土をみんなで古墳に運び込み、だんだんと完成に近づいてきます。スコップで運んだり、一輪車に土を積み込んで、今日あったばかりの友達と一緒に運んだり、それぞれのやり方で楽しんでもらえているようです。

最後の飾り付け

 4月に円筒埴輪づくりに参加してくれたお客さんも続々訪れて、自分で作った埴輪に紅花の苗を植えていきます。ミニ古墳にはコキアの苗を植え付けてもらいました。

 コキアは別名ホウキギ。順調に育てば、緑から真っ赤に色付きミニ古墳を彩ってくれると思います。最後には、ホウキづくりの材料になってくれるかもしれません。自分たちで植えた植物が、次の企画の材料になることで、お客さんとこの場所(しだみゅー)とのつながりを生むことができるのではないでしょうか。

 春祭りのなかで、だらっと何時でも参加できるシステムがうまく狙いにはまったことで多くのお客さんに楽しんで頂けたように思います。イベントの合間や息抜きにと、3回、4回きてくれたリピーターもでるくらいにぎわった企画となることができました。多くのお客さんに楽しんで頂けたプログラムになったと思います。

Written by しだみん