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『リピーター獲得作戦』

 前回は「わざわざ訪れたい場所」というテーマで書いてみました。では具体的にどんな場所が「わざわざ訪れたい場所」になるのでしょうか。

 日本を訪れた外国の方が必ず見たいものといえばやはり「富士山」でしょうか。江戸時代の日本人であれば「せめて一生に一度はお伊勢さん」と言われていた「伊勢神宮」。こうした憧れの場所には、次々と人が集まり常ににぎわっています。一見さんだけでも商売が成り立つうらやましい環境です。

 全国には数多くの集客施設があります。こうした施設もできたばかりのころは目新しさもあり人は集まりますが、徐々に当初の賑わいは減っていってしまいます。

そこで集客力を落とさないために様々な努力を行います。

 広告を出す、イベントをやる、割引をする、年間パスポートを発行する、ポイントを付ける等々やり方はたくさんあります。しかし、競合施設は次々と生まれ、新たな楽しみがあればそちらに行ってしまう移り気なお客さんの心をつなぎとめるのはとても大変なことです。

 やはり集客施設にとって一番ありがたい存在はリピーター。一見さんではなく常連さんです。

 ではこうしたリピーターを増やすためにはどうすればいいのでしょうか?

 金銭的なメリットで増やすのであれば、割引やポイント制などになりますが、他にもっとメリットの大きいサービスが登場すれば「金の切れ目が縁の切れ目」とお客さんは離れていきます。

 そうではないやり方はやはり一つしかありません。

 お客さんに「ファン」になってもらうことです。

 好きなスポーツチームや芸能人の応援のために人はお金を使います。人によってはものすごい金額を使う方もいそうです。こうしたファンにお金でサービスを買っているという感覚は無いのでは。ただ好きだから、応援したいからという気持ちで行動しているはずです。

 ではその施設のファンになってもらうためにはどのような方法があるのでしょうか?

 一目惚れのような出会いもあるかもしれませんし、何度か通っているうちにいつの間にか…といったパターンもあるかもしれません。恋愛と一緒でこうしたら必ずうまくいく!といったノウハウはなさそうですので、いろいろと試すしかなさそうです。

 といった結論では「役立たず!」と叱られそうですので、試しにリピーター獲得のためにやってみた一例を紹介します。

 5月下旬から6月初旬はサツマイモの植付けの時期になります。

 昨年11月にオープンした「あい農パーク春日井」ではオープニングイベントの収穫体験の目玉にするために、まだ工事中の2019年6月初旬に重機が走り回る中、関係者数十名を動員して植付け作業を行いました。

 結果、オープニングイベントでは数多くのお客さんにお芋堀や焼芋を楽しんでいただきました。

 そして今年もサツマイモの植え付け時期がやってきました。2,000本のつる苗を注文し、畝を立て、マルチを張り、あとは植付けをするのみです。

 そこでやり方を考えます。スタッフだけでやってしまうことは簡単です。でもなんかもったいない。お客さんを巻き込んでやる方法がないかを考えます。

 コロナ騒ぎで難しい判断を迫られましたが、6月から徐々に通常営業に戻すことになったため、お客さんに植付け体験をしていただくプログラムを開催することとしました。

 実行する上で考えなければならないポイントが2つあります。

 一つはきちんと植付けをしてもらうこと。サツマイモはきちんと地中に植えないと、根が活着せずに枯れてしまいます。小さなお子さんもたくさん参加されますので、お客さんにきちんとそのことを伝えないと、やってもらったはいいけれどもほとんどやり直し、といったことになってしまいます。

 二つ目はせっかく参加して頂いたお客さんに、秋の収穫シーズンにまた来ていただけるようにすること。

 一つ目をクリアするためにはきちんと体験前に説明を行うこと。植え方の見本をデモンストレーションして見せること。そして植付けに失敗しないような手づくりの道具を作ってリスクを減らします。

 二つ目は参加者に何かプレゼントを差し上げることにしました。これはスタッフでアイデアを出し合います。カフェのドリンクサービス、収穫体験の割引券、焼き芋プレゼントなどいろいろな意見が出てきます。その結果、昨シーズン収穫したサツマイモを使ってカフェで提供して好評を博した「鬼まんじゅう」をプレゼントすることにしました。但し差し上げるのは収穫後の11月以降になるので引き換え券を用意します。

 6月6日、7日と2日間、約50組のお客さんにサツマイモのつる苗の植付け体験を楽しんでいただきました。

 まずはサツマイモの植え方のレクチャーです。

 「まっすぐ植えると大きなお芋ができます。横に植えると程よい大きさのお芋がたくさんできます。掘って楽しいのは大きなお芋ですが、料理するのが大変なのでなるべく横に植えてね―」とお願いします。

 そしてお次はリピーターになってもらうための仕掛けです。

 「ただ働きでは申し訳ないのでアルバイト代を払います。でも払えるかどうかは皆さんの働き次第。収穫できなかったら払えないのでしっかりと植えてくださいね―」とお願いします。

 そして畑で、竹で作った道具を使って植え方のレクチャーです。これを使えばお子さんでもあまり失敗せずに植付けができます。

 暑い最中でしたので短時間の体験でしたが、一畝全部植えてくださるお客さんもいて、2日間できれいに植え付け作業は完了しました。 植え終わったお客さんには、鬼まんじゅうの引換券をアルバイト代と言ってお渡しします。

 また秋にお芋堀に来てくださいねとお別れしますが、畝の位置を数えながら確認しているお客さんがたくさんいます。「何列目の畝の、何番目から何番目…」と聞こえてきます。どうやら自分が植えた場所を確認しているようです。

 秋に再会できるのが楽しみです。

Written by 小森

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