じっちょりんのたねかばんで、『遠くて近い庭づくり』

 就職や結婚を機に、実家と離れた場所に住まいを構えている人は多いと思います。僕自身も実家と離れた場所で働いており、「いつかは実家に戻るから」と賃貸暮らしを続けている一人です。

 素敵なお庭のある家に住みたいと思う一方で、仮住まいだし、狭い庭だから、そもそもベランダだから、とお金や手間をかけることに抵抗があります。そんな曖昧な状態では、やりたいことをダラダラと先延ばしをしている、消極的な暮らし方になってしまう気がしてきました。

 いつか住みたい緑のある庭。

 色々な思いをそのまま抱えているだけではなく、できることから始めよう!と、「こっちとあっちでコツコツ育てる庭づくり」をはじめました。

 どんな庭かというと、

 こっち=今の住まい、とあっち=いつか帰る実家、を行き来しながらゆっくり育てていく庭です。今の住まいを仮のままで過ごす、将来帰るまで実家をほっぽりだすのではなく、その両者をつなげてみようという試みでもあります。

 将来子どもが孫を連れてきてくれた時を想像して、実家のスペースを使って果樹園のような場所を作ってみようと思っています。「こっち」で育てて、「あっち」に植える。具体的な設計図にする訳ではないのですが、頭の中でぼんやりとした構想を描きながら、ゆっくり形にしていければと思います。時間はたっぷりあるのですから、焦らずに。


じっちょりんに出てくる「たねかばん」と苗木づくり

 「こっち」できることとして、食べて美味しかった果物の種を集めることと、苗木づくりを始めています。種集めは、蜜柑、プラム、柿、子供たちが食べて美味しかった果物の種を、絵本(じっちょりんシリーズ)にあやかり、牛乳パックでつくった「たねかばん」にとっています。

 種かばんのなかから、苗木づくりとして、冬に食べた蜜柑(黄金柑、マンダリン)の種を植えました。なかなか実生しなかったのですが、梅雨入り前頃から、黄金柑の種が順調に育ちだしています。次、実家に帰る際にでも、いくつか持ち帰って植えてみようと思っています。

 こっちとあっちで作る庭、10年、20年かけてゆっくり育っていってくれるでしょうか。今はまだ果樹園の「か」の字もありませんが、今できることと将来の庭の姿を少しでもつなげることで、日常に楽しみが増した気がします。なにより、子供たちが種かばんを楽しく活用している姿に癒されていたりします。

 仮住まいだからといってあきらめないで、今から始める未来の庭づくり。コツコツ育てていきませんか?

追伸

 どんな種が入っているか見たところ、大量の椿の種が入っていました。種かばんも刷新されており、子供達の日々の想いが詰まっているようで、なんだかほっこりしました。

Written by 人見