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【前編】今の世の中で、必要なのは 「足るを知る」ことかもしれない。松崎淳インタビュー

交流・景観・建築デザインの力で“感動”を演出するために、企画から事業計画・運営までトータルにプロデュースしている株式会社TONZAKOデザインが贈る、仕掛け人インタビューのコーナーです。まずは、TONZAKOデザインのメンバーのインタビューからスタートします。仕掛け人たちと共に、感動体験をつくるメンバーたちの個性を感じとっていただけたら幸いです。

クリエイターインタビューNo.1(前編)

「ランドスケープデザイン」の松崎氏と倉方氏、「建築設計」の山田氏、「事業デザインから施設運営」の小森氏。その4人が5人の仲間と立ち上げたTONZAKOデザイン。まだ設立1年だが、いろいろな相談が持ち込まれています。そこには言葉にできない不思議な魅力があります。その魅力を探るべく、立ち上げメンバー4人の経歴や考え方、何を考え、どこに向かおうとしているのか?また、プライベートをお届けします。

スペクタクルクリエイター 松崎淳 Atsushi Matsusaki [前編]

取材日:2020年6月9日

前編~目次~
僕ね、高慢ちきだったから、先生がいっぱいいるのよ。
ほんとに、世の中のことを分かっていなくて、「コンセプト」という言葉の意味さえも理解できなかった。
北九州の動物園の現場で、やっと人間になってきたんです。30歳ぐらいかなぁ(笑。
独立した理由は、「自分が何もできないこと」への恐怖かなぁ。
クリエイターとは「破壊者」です。最近関わらせていただいた「はなのわ」でも実感したの。

僕ね、高慢ちきだったから、先生がいっぱいいるのよ。

僕、本当にバカだったの。大学は環境工学を学んでいたんだけど、設計と施工が分かれていることさえ知らなかったの。会社でケンカもするし、人を泣かせたりしてたの。だからね、本当にたくさんの人に育ってもらったのよ。

ある時ね、外注のランドスケープの設計士さんに「松崎!おまえなぁ、みんな分かっていると思ってしゃべってるけど、みんなできることは人それぞれ違うんや!」って、言われたの。その瞬間、「あーそうか、そうですね」って思ったの。

その時にね、自分のダメなところをいい方向に持っていく仕組みがいるなぁって思ったの。それが、「感謝」や「ありがとう」だったのよ。「ありがとう」って、言われた人も嬉しいけど、言った本人は自分の心をコントロールできるのよ。魔法の言葉なの。

だからね、お世話になった人たちは常に心に止めて、「感謝すること」「ありがとう」は大事にしてるの。それを自分に言い聞かせないと、高慢ちきだからさ(笑。

ほんとに、世の中のことを分かっていなくて、
「コンセプト」という言葉の意味さえも理解できなかった。

高校の時はパイロットか、医者になりたかったんだけど、一次試験に失敗してその道が絶たれたんです。その時、テレビで「砂漠緑化」の話を見て、「砂漠緑化」っていいな!と思って、環境工学科に進んだの。でもね、実験や研究なんかは全くできなくて、でも、自由に図面を描く設計は得意だったの。ただ、文章を書くのは苦手だった。「コンセプト」という意味自体も、分からなかったから、適当に書く。そして、先生にボロクソ言われて(笑。でも、外部の先生たちからの作品の評価が高かったのよ。

「コンセプト」という意味が、自分の中でしっかり理解できたのは、40歳ぐらいかな。分かりやすく例を出すとね。AKB48というグループがあるでしょ?基本コンセプトは、「いつでも会える。身近なアイドル」だよね。だからデザインコンセプトは、制服っぽい衣装を着てるよね?そして、握手会したり総選挙したり、みんなが参加できるイベントするでしょ?それが運営コンセプトだよね。

大学卒業して、設計をするためにプレック研究所へ入社。配属になったのは、設計部だったのに、仕事は設計じゃなかったの。行政の仕事で、都市計画や街づくり、緑化施策の計画づくりばっかりだった。30歳までモノを作るところから、遠いところにいたんですよ。

そもそも、社会の勉強をしていなかったから、本当に世の中のことを分かっていなかったんです。大学時代は花屋さんで朝から夜までバイトをしていたんです。楽しかったー。人のお金でブーケが、自分の作品作れる上に、喜んでもらえる(笑。当時、あまり、就職する気がなかったくらい。大学院行こうと思ってたけど、勉強もしないから大学院に落ちて、急遽就職って感じ。

でも、会社に入ったら、思っていた仕事じゃなかったから、大学院へ戻るぞ!という感じでした(笑。でも、会社の仕事も1週間のうち3日ほど泊まるような日々が続き、そんなことも考える暇がなくなったんです。でも、僕、「会社の問題児」だったんですよ。若気の至りでいろいろ言いたい放題。なので、東京から横浜へ転勤となり、その後、九州へ行くことになりました。

北九州の動物園の現場で、やっと人間になってきたんです。30歳ぐらいかなぁ(笑。

九州の仕事は、2年後に西鉄さんが運営していた動物園を北九州市の動物園としてオープンするということで、その設計監理が仕事だったの。それまで本格的な実施設計は、1、2件ぐらいしか経験がなく、全く分からないから、ほんとに大変だったんよ。本当に辛かった。仕事は、午前3時に終わって家に帰り、また8時からスタート、週4日徹夜で土日なしという日々が1年半続いたの。

そして、そこから現場がスタートしたの。そこで、やっと人間になってきたの。それが、30歳ぐらい。そこには本当にいろんな人がいたのよ。いろんな人がいるけど、スムーズに現場を回さないといけないし、みんなに気持ちよく仕事をしてもらわないといけない。本当にたくさんの人にお世話になったのよ。中でも、動物園の園長だった岩野俊郎さんには、動物園の設計についてだけではなく、「人間」についてや「人との接し方」も教わったの。

その頃、僕、本当に仕事ができなかったのよ。でも、唯一できることがあったの。何かがあった時、職人さんたちより早く動くことができたの。例えば大雨が降ったら、土が崩れそうだ!となったら、率先して外へ出ていって、土嚢詰めて積んだり、水の流れを変えたり僕できるんだよ。設計やって2、3年目の若造がね、そうやって一生懸命やっていると、みんなが教えてくれるわけ。そこで設計のノウハウを叩き込んでくれたのよ。「あいつ、アホやけど頑張っとんな」って感じね。アホな子が必死で頑張ってたら、応援したくなるでしょ?それよ。

そうやって、現場の職人さんたちに育ててもらっていく中で、ある職人さんが竣工図を描けなくて困ってた時に、手伝ってくれと言われて手伝ったんだ。そしたら、お礼にとお金を渡そうとするの。でも、それ受け取れないよね。「俺、それ、もらえへんから。もう一回工事入って。そして、僕、困った時に助けて」って言ったら、その後よく助けてくれたのよ。その頃、まだ行政の人ともやり合ってたから、味方になってくれたりね。ありがたいよね。その後、愛知万博の仕事で名古屋に移ったの。何かしでかしたというカタチではない移動は、その時が初めて(笑。

独立した理由は、「自分が何もできないこと」への恐怖かなぁ。

名古屋にはね、僕以上に変わった先輩がいたの。その先輩は行動も特殊だったし、いっぱいケンカもしたけど、「設計」についてとことん語り合ったの。その頃は、いろんな賞がいっぱいとれたの。不思議だよね。

独立しようとおもったのも、いろんな理由があるけど。一番大きいのは2つ。会社や都市の中にいると「何もできない人間」になりそうだと思ったんだ。例えばね、大洪水が来たとするでしょ?電気も水も何もないと言われたときに、僕何もできないわけ。自分が何もできない恐怖があって、このままじゃいけない!と思って独立したの。40歳ぐらいかなぁ。

もう一つ理由があってね。僕、自分にも厳しかったけれど、人にも厳しかったのよ。上司とケンカするだけじゃなく、人を泣かしてしまっていたりしたの。そんな人は、会社の中にいるよりフリーになろうかなぁって思って独立したの。愛知万博の仕事が終わって、東山動物園の仕事が始まっている頃かなぁ。その後、法人化したのは、2015年2月かな。

クリエイターとは「破壊者」です。
最近関わらせていただいた「はなのわ」でも実感したの。

クリエイターは、破壊しないといけないのよ。「作る」っていうことは、今までの価値観や既成概念に囚われていると、新しいものはできないじゃない?だから、そういうものを壊そうという意識があって、その壊したあとにどうするか?という考えがある人がクリエイターじゃないかなぁ。そのどうするか?という時に、地球を感じざるを得ない世の中になってきたんじゃないかな?そう考えると、今までの価値観を壊したりしないと、何も生まれてこないじゃない。

最近ね、「ひろしま はなのわ 2020」のデザインをさせてもらったの。「こういう社会になったらいいなー」というイメージしながら、「空間」や「社会システム」をデザインさせてもらったの。その「デザイン」の中にはいろいろな思いがあるのよ。

どうしても、あそこの場所が面白ければいいと思いがちじゃない?でも、お花一つをとっても、花農家さん、売る人、使う人、お世話する人もいろんな人が携わっているでしょ。もちろん、お客さんもだね。

例えば、その人達にお花の育て方を伝える。一緒にお手入れをする。すると、どんどん楽しくなって、興味を持ってくる。そうやって、関わる人たちに「自分は新しい社会を創造してるんだ」という気持ちになってもらう。そのための「空間」や「社会システム」を作れる人、それがクリエイターなんじゃないかなぁ。

取材:川北睦子

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