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『七輪陶芸に挑戦! 手作りのススメ その3』

 体感!しだみ古墳群ミュージアムでは今年度、「暮らしの道具作り」をテーマに、お皿やホウキ作り、楽器や装飾品など様々な手作り体験を企画しています。竹をつかったおもちゃ作り、陶器のお皿など、道具の種類は違っていても、手作りの楽しさを伝えるという目的は共通しています。

土探しから始める陶芸

 プライベートでも色々手作りをするのが好きで、道具だけでなく食べるものも、と畑を借りて野菜を育てています。

 ある春の日、借りている畑の中に、陶芸に使える粘土が含まれていることを聞き、手作り心に新しい火がついてしまいました!早速、苗の植え付けもそこそこに、畑の横を掘ってみました。(土の採取はもちろん管理をされている方の許可を得ております。)

 陶芸に向いている、と言われたのは写真右下の薄緑した部分の土です。実際はかなりグレーに近い色をしています。回りの土がボロボロ崩れるのに対し、粘土の塊はずっしり密度の高い質感をしています。

 掘ってみるとわかったのですが、グレー系の粘土の他にも、薄紫がかった土、グレーにほんの少し緑がかった色味のものと、それらが混ざり合ったものなど、同じ畑の中から、様々な土が採取できました。これらが焼き上がりの強度や色味にどの様な変化を生み出すのかと期待しつつ、この日はバケツ一杯の粘土をもらって帰りました。

 集めてきた粘土は、水で濾す水簸(すいひ)や、はたき土と言うトンカチなどで砕いて小さくした土を振るいにかけて不純物を取り除く作業を行いました。そのあと、適度に水を混ぜながら練ったあと密閉。水を混ぜた状態で寝かせることで水分が均一にいきわたり良い状態の土になるそうです。プロの作家になると何十年、それこそ次の代に土を受け継ぐ程長い期間をかけて土を寝かすとのことです。どのくらい寝かせば良いかわからないまま、一か月程度寝かしてみようと決めました。

七輪陶芸で素焼きの勾玉づくりに挑戦!

 さて、粘土を作ったものの、未だものは作れない。一か月くらい土を寝かせる間に、何を作ろうかと考えていました。

 そんなある日、別のプログラムの企画を練っている最中に、ホウキモロコシを使ったホウキづくりのストラップにしたらどうだろう!?と思いつきました。できあがったホウキにストラップをつけたらどうだろうというアイデアがあったのですが、市販品をただ配るだけでは味気ないなと思っていたのです。土の採取から素焼きまで一貫して手作りで作った勾玉ストラップ、「暮らしの道具づくり」のコンセプトに沿うのではないでしょうか。

 作りたいものが決まった途端、1か月待つのが待ち遠しくなりました。もういいだろう、と、6月のある日、寝かした粘土を、今度は勾玉の形に成形していく作業を始めました。あえて、色味の違う土や形を変え、形も統一しないなど、手作りの風合いが古墳時代から出土した土器の雰囲気に通じてくれることを妄想しながらの作業です。

 さて、成形した粘土を自然乾燥しつつ、次は素焼きの準備に入ります。せっかく手作りにこだわるのだから、と焼成(粘土を焼くこと)も自分でできる方法、と決めていました。「七輪陶芸」という言葉があるくらいなので、自分でも挑戦できそうです。梅雨の合間の晴れた休みの日に、準備しておいた炭を七輪に投入。まずは七輪の縁で少しずつ温度を上げて、熾火になった段階で中に投入しました。一時間程焼成したのち取り出して、ゆっくりと自然冷却で冷ましていきました。

無事焼きあがった勾玉たち。グラデーションがかったもの、黒っぽくなったものなど、皆一様ではない結果となりました。一つ一つ違う形の勾玉、お客さんが楽しく選んでもらえると良いなと、焼く前に思い描いていたイメージに近い気はします。自分で一から作ったものが完成を迎えると感慨深いものですが、お客さんに受けるかは全くの別問題なので、お客さんに喜んでもらえるか、今からドキドキです。

古墳時代に思いをはせて

 完成した勾玉をストラップにしてみました。体験プログラムで作ってもらったホウキにつけることで、古墳時代の人たちの生活に思いをはせる、そんなストラップになればと思います。

 一緒に焼いてみた鶏形埴輪は、乾燥が足りずに割れてしまいました。が、あえて接着した姿を完成品することで、焼き色ムラと相まって、復元された埴輪のような佇まいになった気がします。

 手作りに挑戦することで、「どんなものが出来上がるかわからないワクワク」や「割れたものを楽しめる心」など、少し窮屈な今の時代に「これで良いんだ」という、肩の力を抜いた時間を提供できるのではないかと思いました。

Written by 人見

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