数年前、私の住む地域の防犯灯が全てLED照明に入れ替わりました。電気代の節約が一番の理由です。
LEDは、すでに様々な分野で応用されていますが、特に照明分野での普及が、ここ10年ほどで急速に進んでいます。
LED照明の特性
LED照明の特性として、主に以下のものが挙げられています。
〇省エネルギー(消費電力が少なく経済的)
・白熱電球と比べ約1/6、蛍光灯と比べ約1/2、ハロゲンランプと比べ約1/6、水銀灯と比べ約1/5
〇長寿命
・LEDの寿命は約4万時間とされ、白熱電球の約40倍、蛍光灯の約4倍、ハロゲンランプの約13倍、水銀灯の約4倍
〇低公害性
・蛍光灯で使用されている水銀が、LEDでは使用されておらず、低環境負荷
〇耐低温性
・氷点下20度でも発光効果が低下せず、寒冷地の外灯としても設置可能(蛍光灯は氷点下で点灯しなくなることがある)。
〇紫外線や赤外線の放出が少ない
・紫外照射による商品の退色や、赤外照射による熱的ダメージを軽減できる。
参考:一般社団法人照明学会Webサイト
様々な環境問題が深刻化している昨今、このように省エネや環境負荷低減につながる照明のLED化は、SDGsの取り組みの一つとして、公共施設や企業、家庭でも多く取り入れられるようになってきました。
2020年は照明の世界でも大きな転換の年
現在、東京2020オリンピック開幕し、連日熱戦が繰り広げられていますが、開催される予定だった2020年は、照明の世界でも大きな転換の年であったようです。
経済通産省の『新成長戦略』『第4次エネルギー基本計画』(平成26年4月)では、「高効率照明(例:LED照明、有機EL照明)については、2020年までにフロー(出荷台数)で100%、2030年までにストック(市場規模での在庫)で100%の普及を目指す」とされています。「水銀灯」と「蛍光灯」照明器具は、2020年末で生産終了となりました。
省エネ意識の高まりとともに、こうした政府の動向も影響し、今後もさらに照明のLED化が進むこととなりそうです。
メリットの一方で・・・?
そんな中、困った気にたたずむ生き物がいました。
大きなガマガエルが、防犯灯の足元でジッと身構えています。夜間、この灯りに集まる虫をねらって、よく狩りにきていたガマガエルですが、LEDに交換されてから、一気に狩りの効率が悪くなったようです。
それも、そのはず。夜、外灯に集まる虫の多くは、実は光に集まっているのではなく、外灯から放出されている紫外線に引き寄せられていたのだとか。
紫外線の放出が少ないLED照明になり、夜間、ガなどの虫が集まりにくくなってしまったというわけです。
LED照明。人にとっては、省エネだし、ガなどの不快な生き物を夜間の灯りから排除でき、大きなメリットがありますが、ガマガエルにとっては、恰好の狩場を失ってしまったともいえそうです。
Written by 倉方